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2006年10月09日

深まる秋の読書

久しぶりに夜読書をしています。ちょうど宮本百合子没後55周年で、播州平野を読み返しました。播州平野は、戦争が終わった1945年8月15日前後の、日本の人々の暮らしの変化と自然の移ろいを、百合子の豊かな感性で書いてあります。主人公「ひろ子」が、夫である「重吉」が網走刑務所から解放される知らせを聞き、重吉に一刻も早く会いたいと夫の実家から東京に帰る途中、様々な困難に合います。しかし、それさえ幸せに感じるくだりでは、戦争が終わり、新しい歴史が始まる歓びが表現されています。宮本百合子の繊細な情景描写は、すばらしいものがあります。それとともに、民衆に対する優しい視点での描写は、平和と民主主義を求めて戦争中も闘った人ならではの表現です。「微風に梳かれる秋陽は、播州の山々と、畑、小さい町とそこの樹木を金色にとかし、荷馬車は、かたり、ことりと一筋の国道の上を、目的地に向かって、動いてゆく」「日本中が、こうして動きつつある。ひろ子は痛切にそのことを感じるのであった」と結んであります。ひろ子が播州平野を通ったのは、ちょうど今日あたりです。久しぶりの読書ですが、気持ちがやさしくなれました。たまには、ゆっくりと読書をして感性を磨かないと錆付いてしまいますね。

投稿者 :kanazawa  |  2006年10月09日 17:24

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記事に対する意見、感想

ちょうど、私も百合子を読んだところです。播州平野と、あとは全集の戦前・戦後の婦人問題、社会評論を読みました。ちょうど先日、宮本百合子を語る兵庫のつどいで、百合子について話してほしいとのことだったので、「若い世代がいま、百合子から何を学ぶのか」と題して、話しました。話をするうえで、やはりきちんと読んでおかなくてはと、一連のものを(といっても、代表的な小説ですら読めていませんが)読んだというわけです。
今日、ブログを開設し、その話の大要も載せておきましたので、またよかったら読んでみてください。
http://teru-horiuchi.com/

投稿者 :堀内照文  |  2006年10月10日

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